- 知りたい、
病気のこと - 話そう、
みんなの体験談 - 続けたい、
毎日の工夫 - 聞きたい、
より良い治療のために - 活用しよう、
サポート情報 - 考えよう、
家族とともに
トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー*について、 患者さんやご家族、気になる症状がある方の疑問や悩みについて、 専門の先生にお答えいただきました。
「遺伝性ATTR(ATTRv)アミロイドーシス」、「FAP(Familial Amyloid Polyneuropathy)」とも呼ばれています。
ご状況に合わせて絞り込めます
治療を続けていても症状が良くなっている感じがありません。今の治療をこのまま続けていてよいのでしょうか?
- 診断された方
この病気は、何もしないと症状が徐々に進んでいきます。そのため、治療を続けて、症状が進むスピードを遅らせることや今より悪い状態にしないことがとても大切になります。状態を維持しているということは薬が効いている証拠とも言えるでしょう。また、治療効果が出るまでに時間がかかる場合もありますし、効果が実感できなくても検査の値は少しずつ良い方向に向かっていることもあります。治療について心配なことがある場合は、ご自身の今の状態について、検査結果などを含めて、担当医に確認してみてはいかがでしょうか。また、症状が強く出ていてつらい時などは、無理せず早めに相談するようにしましょう。
ご回答いただいた先生: 熊本大学 脳神経内科学 教授植田 光晴 先生
トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーと診断されましたが、家族や周りにつらい気持ちを打ち明けられず、つい気丈にふるまってしまいます。先生や看護師さんに悩みを相談してもよいのでしょうか?
- 診断された方
どんな病気でも、つらい気持ちを1人で抱えながら治療を続けていくのは大変だと思います。ご自身だけで頑張ろうと思わなくて大丈夫です。人は誰でも他の人と支え合って生きています。つらいことや悩みごとがあれば、1人で抱え込まず、ご相談ください。もし、担当医や看護師に話しにくいようであれば、施設内にある医療相談室や地域の相談窓口などを活用していただいてもよいと思います。
ご回答いただいた先生: 熊本大学 脳神経内科学 教授植田 光晴 先生
遺伝性の病気と聞きました。私のせいで家族が病気になるかもしれないということでしょうか?
- 診断された方
あなたが原因でご家族が病気になる、ということではありません。この病気の原因である遺伝子の変異の多くは、先祖代々受け継がれてきたものです。あなたの病気がわかったことで、ご家族にも同じ遺伝子変異がある方がいるかもしれないことがわかり、事前に対策を考えることができるようになった、と考えることもできます。ご自分を責めず、病気と向き合ってみてください。
ご回答いただいた先生: 熊本大学 脳神経内科学 教授植田 光晴 先生
遺伝子の変異は先祖から受け継がれてきたということですが、血縁者からこの病気のことを聞いたことがありません。どうしてでしょうか?
- 診断された方
- ご家族の方
この病気は、原因となる遺伝子の変異があっても必ず発症するわけではありません。血縁者の中に遺伝子変異がある方がいらっしゃったとしても、発症していなかったのかもしれません。また、この病気の症状は体の色々な場所に、様々な形で現れることが多いため、発症しても別の病気だと間違われて、ご自身が「トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー」であることを知らなかった可能性もあります。
さらに、別の可能性として、何らかの理由で血縁者の方がこの病気のことをあなたに伝えなかったことも考えられます。遺伝カウンセリングなどを活用しながら、ご家族と十分に話し合ってみてください。
ご回答いただいた先生: 熊本大学 脳神経内科学 教授植田 光晴 先生
家族は発症前診断を受けたほうがよいのでしょうか?
- 診断された方
- ご家族の方
発症前診断にはメリットがある一方で、留意すべき点もあります。ご家族にとって何が最善か、遺伝カウンセリングなどを活用しながら、一緒に考えてみてください。
ご回答いただいた先生: 熊本大学 脳神経内科学 教授植田 光晴 先生
子どもがまだ遺伝のことを理解できる年齢ではありません。どのように伝えればよいでしょうか?
- 診断された方
- ご家族の方
この病気が発症する年齢は、人により異なりますが、早い場合でも20歳代後半~30歳代が多いことがわかっています。このことから、お子さまが成人し、自分で判断できるようになってから検査を受けることが推奨されています。
遺伝子変異の有無は、結婚や出産など、お子さまの人生に大きく関わる可能性がありますので、成長にあわせ、焦らず、じっくりと話してみてください。また、お子さまに病気を疑わせる症状がある場合(通常は20歳以降で発症)は、早期治療のため、可能な限り速やかに医療機関を受診してください。
ご回答いただいた先生: 熊本大学 脳神経内科学 教授植田 光晴 先生
家族がこの病気にかかっていますが、私自身はこの病気かどうかはわかっていません。今は特に気になる症状もないので、このまま様子をみていても大丈夫でしょうか?
- ご家族の方
今は気になる症状がないということですが、変異した遺伝子を受け継いでいる場合、将来この病気を発症する可能性はあります。発症した際になるべく早期から治療を開始することがこの病気の進行を防ぐためには重要です。
まずは、ご自身の体のことについて、ご家族の担当医の先生に相談してみてもよいかもしれません。そして、遺伝カウンセリングなどを活用して、病気を発症する前に遺伝子の変異を調べる発症前診断のことについても考えてみてはいかがでしょうか。
ご回答いただいた先生: 熊本大学 脳神経内科学 教授植田 光晴 先生
トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーは診断までに時間がかかるケースもあるようですが、なぜこの病気は診断が難しいのでしょうか?
- 気になる症状がある方
この病気の症状は、手足のしびれ、立ちくらみ、動悸や息切れ、下痢や便秘など多様で、それぞれの症状の現れるタイミング(時期)や症状の強さ(程度)なども人によって様々です。またこれらは、他の病気、例えば、手根管症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)や糖尿病性ニューロパチーなどでもよくみられる症状です。そのため、これらの病気と診断されるなどして、治療を受けたけれどもなかなか症状が改善しない方で、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーを疑って検査した結果、ようやく診断に至ることもあります。治療を受けていてもなかなか良くならない場合や気になる症状がある場合は、一度、医療機関に相談してみましょう。
ご回答いただいた先生: 熊本大学 脳神経内科学 教授植田 光晴 先生
この病気は現れる症状が人によって異なると聞きましたが、なぜそんなにいろいろな症状があるのでしょうか?
- 気になる症状がある方
- 診断された方
トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーは、肝臓で作られるトランスサイレチン(TTR)というタンパク質の形が変わり、アミロイドという線維化した異常なタンパク質になって体内の様々な場所に蓄積してしまうことで起こる遺伝性の病気です。このアミロイドは、末梢神経や心臓、消化器など全身に運ばれますが、体のどこにアミロイドが沈着するかは患者さんによって異なるため、出現する症状も患者さんによって異なってきます。そのため、手足のしびれ、吐き気や下痢、視力低下、息切れなど一見すると関連のないようにみえる症状がありますが、いずれもトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーが原因で起きていることもあります。気になる症状がある場合、「これはこの病気とは関係ない症状だろう」とご自身で判断せず、担当医に伝えるようにしましょう。
ご回答いただいた先生: 熊本大学 脳神経内科学 教授植田 光晴 先生